No.15|社労士との顧問契約のメリットと費用対効果とは?「コスト」ではなく「投資」で考える理由

2026.10.28

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「社労士にお願いしたいけれど、毎月の固定費がかかるのが心配」

「今は大きなトラブルもないから、自社で何とかなるのでは」

「売上に直結しない管理部門への出費は抑えたい」

などといったことを考えたことはないでしょうか?

顧問契約は、単なる「事務代行のコスト」ではなく、本来は「会社を守り、社長が本業に集中するための投資」という側面を持っています。この記事では、そのメリットと費用対効果の考え方を少し整理してみたいと思います。

顧問契約の基本

社労士との顧問契約とは、月額の顧問料を支払い、労働・社会保険に関する手続きや労務相談を継続的に依頼する契約です。スポット契約(単発の依頼)と違い、日常的にいつでも相談できる「かかりつけ」の関係を築ける点が特徴です。

顧問料の相場は、事務所や依頼内容によって幅がありますが、従業員10名未満の企業では月額2万〜3万円前後が一つの目安とされ、年間では24万〜36万円ほどがボリュームゾーンといわれます。一般に、従業員が増えるほど手続き・相談の量が増えるため、10名を超えると10名単位で料金が上がっていく料金体系が多く見られます。給与計算・就業規則作成・助成金申請などは、基本の顧問料とは別のオプション料金になるのが一般的です。

メリット① 経営者が「本業に専念できる」

中小企業では、経営者自身や少数の担当者が、給与計算・社会保険手続き・入退社対応を本業と兼任しているケースが大半です。しかし、毎月必ず発生する事務作業や、細かな手続きに追われると、本来もっと時間を使うべき「営業活動」や「社員とのコミュニケーション」等の時間が削られてしまいます。

これらの手続き業務を社労士にアウトソーシングすることで、「手続きのプレッシャー」や「計算ミスの不安」から解放され、経営者が前向きな業務に集中できる環境が整います。これは、時間という経営資源を、より価値の高い活動に振り向けられるという意味で、大きなメリットです。

メリット② 法改正への対応を任せられる

労働基準法や社会保険のルールは、毎年のように改正が行われます。近年は特に、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、ハラスメント対策の義務化、社会保険の適用拡大、育児・介護休業法の改正など、対応すべき法改正が立て続けに続いています。

これらを自社だけで追いかけ、就業規則や給与計算に正確に反映させるのは、本業をこなしながら対応することは大きな負担となってきています。特に、昨今の人手不足も影響し、一人でも多くの社員を売上に直結する業務に従事させたいというのが、経営者の悩みではないでしょうか。顧問契約や手続き業務、給与計算業務のアウトソースすることで、法改正に対応し、かつ、売上につながる業務に、より手を回すことができるようになります。

メリット③ トラブルを未然に防ぐ「予防」

顧問契約の価値が最も表れるのが、労務トラブルの予防です。万が一、退職した社員と未払い残業代などでトラブルになった場合、過去にさかのぼった金銭的負担だけでなく、解決に向けた時間的・精神的コストは莫大なものになります。さらに、SNS等で会社の評判が低下すれば、その後の採用活動にも悪影響が及びかねません。

日頃からいつでも相談できる専門家がそばにいれば、就業規則の不備・残業代計算のミス・社会保険の加入漏れといった"時限爆弾"を、平時のうちに小さなコストで摘み取れます。トラブルが起きてから慌てて対処するより、はるかに費用対効果が高い。これが「顧問料は保険のようなもの」といわれている理由です。

費用対効果を「見えないリスク」と比較する

顧問料の費用対効果は、「支払う顧問料」と「支払わないことで生じ得るリスク」を天秤にかけて考えると見えてきます。

たとえば、年間の顧問料が30万円前後だとします。一方で、未払い残業代トラブルが1件起きれば、数十万〜数百万円規模の支払いに発展することがあり、労基署・年金事務所等の調査で加入漏れ・未払いが見つかれば、やはり数十万〜数百万円の遡及負担が生じ得ます。さらに、経営者がこれらに費やす時間・精神的負担は、金額に表れないコストです。

「人事のために人を雇う」ことを考えれば、月数万円で専門家の知見を継続的に使えることの費用対効果は高い、という見方もできます。顧問契約は「コスト」として捉えると割高に見えますが、「リスクを減らし、経営者の時間を生み出す投資」として捉えると、評価が変わってきます。

Q&A:よくある疑問

Q. 今トラブルがないなら、契約は不要では?
トラブルがない今こそ、予防のための整備がしやすい時期です。問題が起きてからでは、打てる手が限られ、コストも大きくなります。

Q. スポット契約ではダメ?
突発的な単発業務にはスポットが向きますが、複雑な内容や会社独自の事情が関係しているなど、スポットでは把握しきれない事情の方が多く残ったうえで判断せざるを得ないため、スポット対応にも限界があります。そのため、日常的な相談・手続き等、いつでも相談できる顧問契約のほうが安心につながります。

Q. 小さな会社でも費用対効果はある?
専任の人事担当を置けない小さな会社ほど、「社外の人事部」として活用する価値があります。経営者の時間を守る効果も大きくなります。

社労士との顧問契約は、「事務作業の代行費用」であると同時に、「トラブルを防ぎ、経営者が本業に集中するための投資」でもあります。まずは、自社が労務にどれだけの時間と不安を費やしているか、そして万が一のトラブルでどれだけのリスクを負い得るかを整理してみるといいかもしれません。