No.19|賞与月に短期の育休を取った場合、賞与の保険料は免除される?
賞与月に数日だけ育休を取ると、社会保険料はどうなる?
育児休業中は社会保険料が免除される――これは多くの方がご存じの制度だと思います。では、賞与が支給される月にたまたま数日だけ育休を取った場合、その賞与にかかる社会保険料も免除されるのでしょうか。
実はこの点、以前は「月末時点で育休中かどうか」だけで判断されていたため、賞与月の月末に1日だけ育休を取れば保険料が免除される、という運用になっていました。しかし現在はルールが変わっており、短期の育休では賞与の保険料は免除されません。
すでにご対応済みの企業も多いかもしれませんが、制度改正から数年が経ち、改めて確認しておくと安心だと思います。
賞与の保険料免除に必要な条件
現在の制度では、賞与月に育児休業を取得しても、その月の末日を含めて連続して1か月を超える育児休業を取得している場合にのみ、賞与の社会保険料が免除されます。
つまり、以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
賞与の支給月の末日に育児休業中である
その育児休業が連続して1か月を超えている
たとえば、6月30日に賞与が支給される会社で、6月25日から7月31日まで育児休業を取得した場合、6月末を含んで1か月を超える育休期間があるため、6月分の賞与にかかる社会保険料は免除されます。
一方、6月28日から6月30日まで3日間だけ育休を取った場合は、月末時点では育休中ですが、連続1か月を超えていないため、賞与の保険料は免除されません。
月額保険料の免除要件とは異なる点に注意
混同しやすいのですが、月額の社会保険料(毎月の給与にかかる保険料)の免除要件は、賞与とは別のルールになっています。
月額保険料については、以下のいずれかに該当すれば免除されます。
その月の末日に育児休業中である(従来からの要件)
その月の末日が育休中でなくても、同じ月に14日以上の育児休業を取得している(令和4年10月以降の追加要件)
つまり、月の途中で2週間以上育休を取れば、月末時点で復帰していても月額保険料は免除されるという整理です。
これに対し、賞与については「月末+連続1か月超」という別の基準が適用されます。月額と賞与で要件が異なるため、給与計算や賞与計算のタイミングごとに確認が必要です。
なぜこのような改正が行われたのか
以前の制度では、月末の1日だけ育休を取得すれば、その月の月額保険料も賞与の保険料も免除される仕組みでした。これが、実質的に保険料の負担を回避する手段として利用されるケースが出てきたため、公平性の観点から見直しが行われました。
改正後は、育児のために一定期間以上仕事を休む場合に保険料を免除する、という本来の趣旨に沿った運用になっています。短期間の育休取得そのものを妨げる意図ではなく、保険料免除の対象を整理した形です。
実務上の確認ポイント
賞与計算の際には、以下の点を確認しておくと安心です。
育休期間の把握
賞与支給月に育休を取得している従業員がいる場合、その育休の開始日と終了予定日を確認します。月末を含んでいても、連続1か月を超えていなければ免除対象にはなりません。
月額保険料との違いを意識する
同じ「育休中の保険料免除」でも、月額と賞与で要件が違います。給与計算では免除されていても、賞与では免除されないケースがあるため、それぞれ別に判断する必要があります。
年金事務所への届出
保険料免除の対象になる場合は、年金事務所(健康保険組合に加入している場合は健康保険組合も)に「育児休業等取得者申出書」を提出します。賞与の保険料免除を受ける場合も、この届出が必要です。
すでに月額保険料の免除で届出を出している場合でも、賞与月をまたいで育休が続いているかどうかは、賞与計算のタイミングで改めて確認しておくとよいと思います。
まとめ:賞与の保険料免除は「月末+連続1か月超」が条件
賞与月に育児休業を取得しても、その月の末日を含めて連続1か月を超える育休でなければ、賞与の社会保険料は免除されません。月額保険料の免除要件とは異なるルールになっているため、賞与計算の際には別途確認が必要です。
育児休業を取得する従業員が増えている中で、保険料の取扱いを正確に把握しておくことは、会社としても従業員としても安心につながります。すでにご対応されている内容かもしれませんが、何かのご参考になれば幸いです。
参考情報
厚生年金保険法、健康保険法(育児休業期間中の保険料免除に関する規定)
日本年金機構「育児休業等期間中の社会保険料免除要件の見直しについて」



